五郎山古墳。ポップでプリミティブ。古代人の美意識と子供たちは交信する

五郎山古墳の装飾

北欧のクリエイターのポップな絵。
そう言われても違和感のない魅力的なこの絵は、古代人が顔料から色を採り、岩に直接描いたものです。

プリミティブな魅力があるこの絵が発信する、目に見えない何かは、私たち大人よりも子供のほうがわかるのでしょう。小学生、中学生が、好きな絵の前でじっと見入っている姿を後ろから見ていると、何やら交信を始めているように思えます。幼い子供が動物や鳥と気持ちを通わせている、あの姿と同じ。

観世音寺で、居並ぶ丈六仏を前にした時。
金隈遺跡で、甕棺に眠る弥生の人骨を前にした時。
子供は本物から何かを感じ取る能力があるのだなと感心しましたが、ここの絵の前でも同じことを感じさせてくれます。

ここ五郎山古墳は、墓に眠る主への祈りを込めた様々な絵が奥壁に描かれた装飾古墳です。

馬にまたがった人。
祈りをささげる人。
弓を引く人。
魂を運ぶ船。

その表現は、手が巨大に描かれたり、背中に背負う靭が人物の何倍もの大きさに描かれたりと、幼児のお絵かきと通じる力強さがあり、当時の職人さんの心情が伝わってきます。

五郎山古墳がある丘陵の麓に、古墳を解説するための古墳館があり、ここで驚くような冒険ができます。一つ一つの石や壁画まで、すべてが実物大、すべてが同じ造りの石室レプリカがあるのです。

羨道(=奥へ続く通路にあたる)も実物そのままの大きさですので、かがんで、あるいは這って、奥の玄室へ進みます。

ここに、秘密が!

どなたでも見学できるようにと、この狭い羨道が「開けごま」でウィーンと、石の壁が左右に開く仕掛けとなっているのです。腰が悪くても膝が痛くても車いすでも大丈夫。全国唯一、こんなものを創ってしまった五郎山古墳館、素晴らしいです。

裏手の本物の古墳では、ガラス越しに本物の石室を見学できます。ただし事前申請が必要。

JRの原田(はるだ)駅から徒歩圏の、住宅街の中。こんな場所で、こんな体験ができるなんて!
ここは「筑前」「筑後」「肥前」の三国国境だった場所。古くからこの地の産土神である筑紫神社は、歴史に様々に登場します。やはり古代から交通の要衝であり、有力豪族が抑えたい良い立地なのです。

九州の装飾古墳をくまなく研究され誰より詳しいお一人で、この「開けゴマ」を発案された石山勲氏には、毎年1回、九州の装飾古墳をめぐるシリーズをご案内いただいています。マグライト必携!

五郎山古墳と古墳館は大規模施設ではありませんが、行きやすく分かりやすく、楽しさも、重要な遺跡ということも、すべてがそろった場所です。装飾古墳にご興味ある方、初心者の方や親子でお出かけの方が訪れるにも、大変おすすめです。

 


装飾古墳王国・九州の、
五郎山古墳/五郎山古墳館(福岡県筑紫野市)

*古墳館の石室レプリカは開館中いつでも体験可能
*実物の古墳見学は事前に館へ申請して開錠いただく必要があります。詳細は館へご確認ください

 

【写真コーナー】——————–

玄室奥壁の絵。館内の実物大の石室レプリカへ入ってゆけます。石室内の石の組み方、天井の高さなど、その場に立たなければわからないことが、たくさんたくさん。船は準構造船だとか、馬じゃなくて猪だとか、祈りは巫女か?とか、絵を前に話題がつきません。持ち送りの石の積み方も上下部分の違いなど解説を聞いて眺めると、古代の知恵に唸ります。
人物 馬 動物 船 靱

レプリカ石室の入り口。カンテラを手に羨道をくぐってゆきます
五郎山古墳館には実物大レプリカ

ギリギリしゃがんで歩ける高さ。膝をついて進むもよし。
羨道を進んで玄室へ

大人も這って進む

玄室に着いた。本当に真っ暗
たどり着く玄室は真っ暗

石室は闇。当たり前と言えば当たり前だなと。
手にしたカンテラの灯だけ

照らすと浮かび上がる絵。おお、と感動の声
ライトで壁面の絵を

玄室内の電気をつけていただきました

今くぐってきた羨道を、入り口側から見たところ。「開けごま」で羨道部分が左右に開いたのがわかりますか? 車いすでも入ってゆけます
羨道部分は電動で開くので車いすでも入れる

石室内は天井が高くかなり広いのがわかります
玄室を見学する人たち

館内展示より解説パネル。
壁画をCGで復元したものが並んでいます

騎馬人物の解説パネル 人物の解説パネル

 

盾を持つ騎馬人物の解説パネル

 

靱の解説パネル 槍か矢が刺さった猪の解説パネル

 

魂を運ぶ船の解説パネル

 

館でしっかり予習して、裏手の丘の上にある本物の古墳へ。公園になっています
裏の丘を登り古墳へ

坂道でちょっとはあはあしますね。「五郎山古墳」の道しるべ
「五郎山古墳」の道しるべ

円墳にたどりつきました
五郎山古墳の全景

丘にあがると展望が開け、結構高さがあるとわかります。三国国境である交通の要衝を一望できる、古代豪族にとっていい場所だったのがわかります
古墳のある高台は平野を一望

予習してきたとおり、壁画をしっかり思い出して、
五郎山古墳の解説板

古墳の解説がしっかりあります
五郎山古墳の模型と解説

周溝もありました。
五郎山古墳平面図

目の前のこの円墳を、

断面で見れる。わかりやすーい!の声。
五郎山古墳の石室断面

館内のレプリカで入っていったのはこの石室。羨道を、つきあたりの玄室まで這って行きました。この羨道部分が「開けごま」で開くしくみでした。
石室構造と見学室内がわかりやすい

そして今から、本物を見学します。もちろん担当の方に従い、ガラス越しに。どきどき。
五郎山古墳墳丘断面図

内部は写真はありません。ぜひ足を運んで実際にご覧ください。

実物を前にすると解説も頭にはいります
五郎山古墳の形

五郎山古墳の築造方法

 

以下は館内の解説パネル。
発見当時の五郎山古墳。土地の所有者により発見された。
五郎山古墳の発見

発見当時の小林行雄先生の貴重な記録。
第1回調査と史跡指定

トレンチ調査の様子。
調査風景の写真

石室のかたち。
石室のかたち

以下3点は筑紫野市より。
五郎山古墳とふもとの五郎山古墳館、空撮。
五郎山古墳の空撮

館内の展示。ここに石室レプリカがあります。
五郎山古墳館の館内展示

五郎山古墳館の石室レプリカ内部。
五郎山古墳の石室内写真